個人と法人で所有権を分ける
国が決めている「相当の地代」を採用して節税を考えることも方法のひとつです。
例えば土地を法人が所有し、建物を個人が所有するケースでは、個人と法人の間に借地契約が生じます。相当の地代は通常6%で権利金は伴わないのが普通です。同時に個人・法人間で業務委託契約を結び受取家賃の15%程度を業務委託費とすることで不動産課税所得を下げることができるケースが多い、という特徴を引き出せます。数年で数百万円の節税効果を生む可能性がありますので検討からはずすことがないようにしたいものです。
なお、2020年4月の法改正で以下のことが追記されました。平均地価が高く簿価が低いケースでは富裕層顧客からみると節税効果が多少目減りすることになるのではないかと思います。
法人が借地権の設定により他人に土地を使用させる場合、通常、権利金を収受する慣行があるにもかかわらず権利金を収受しないときには、原則として、権利金の認定課税が行われます。
しかし、権利金の収受に代えて相当の地代を収受しているときは、権利金の認定課税は行われません。
この場合の相当の地代の額は、原則として、その土地の更地価額のおおむね年6パーセント程度の金額です。
土地の更地価額とは、その土地の時価をいいますが、課税上弊害がない限り次の金額によることも認められます。
(1) その土地の近くにある類似した土地の公示価格などから合理的に計算した価額
(2) その土地の相続税評価額又はその評価額の過去3年間の平均額
なお、相当の地代を授受することとしたときには、借地権設定に係る契約書において、その後の地代の改定方法について次の(1)又は(2)のいずれかによることを定め、遅滞なく「相当の地代の改訂方法に関する届出書」を借地人と連名で法人の納税地の所轄税務署長に提出することが必要です。届出がされない場合は、(2)を選択したものとして取り扱われます。