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ニセコに富裕層向け別荘や外資系ホテルが相次ぎ建設費高騰や人手不足が深刻化

写真:©北海道新聞
10年近く前に、「北海道のパウダースノーはすごい」とニセコにマンションを持っているオーストラリアの友人が言っていた。冬に北海道へ赴いた事のない私は、当時はまだニセコがここまで欧米豪の富裕層から支持されていることを知らなかったのだ。

ニセコは欧米豪の富裕層に人気のリゾート地区で高級別荘の建設ラッシュが止まらない。1区画数億円の物件が当たり前になってきた。高級ホテルの建設も相次いでおり、建設費高騰やスタッフ不足といった課題も表面化している。

香港系の不動産開発会社ハクデベロップメントは、ひらふ地区のニセコグラン・ヒラフスキー場そばに今年、7階建てのマンション型別荘「ハク・ヴィラズ」を建設する。4戸のみの豪華な造りで延べ床面積は1戸300~600平方メートル。各戸に露天風呂やバーが付くほか、部屋付きのスタッフが24時間態勢で待機する。価格は明らかにされていないが、地区では最高級の水準だといい、少なくとも数億円とみられている。対象はアジアの富裕層で、ニセコはまだ世界水準のサービスを提供する施設が少なく需要は十分あると断言する。

開発計画は戸建てやマンションだけにとどまらない。
2019年開業の米国系高級ホテル、パークハイアットをはじめ、香港資本のホテル「ザ・パビリオンズ・ニセコ」を核とした複合リゾート、2018年に開業する6階建て宿泊施設「メープルズニセコ」、香港企業による10棟規模の別荘街など、大きなものだけで10近くの宿泊施設が建設される。

こうした開発は外国人観光客が増えたここ10年で急増し、宿泊施設の定員数は年数百ずつ増えている。「職人の奪い合い」(地元建設業者)となり、建設費も高騰。倶知安町は昨年、案内所などを備える「観光中核施設」の入札を2度行ったが、いずれも予定価格を「数千万円」(関係者)上回って不調となり、建設が凍結される一因となった。

宿泊施設が増え、受付や清掃にあたるスタッフの不足も深刻化。接客には英会話が不可欠で、地元の日本人の応募が少ないことが拍車をかける。ある外資系ホテルは「日本的な体験を望む客の需要もあり、日本人を募集しているが全く来ない。大半は香港など国外で採用し、冬だけ来てもらっている」と明かす。こうした期間雇用のスタッフは仕事が減る夏には帰国し毎冬人も入れ替わるため、地元の地理など接客に必要な知識を深められないことが悩みだという。

宿泊料は高くなっているのに人手不足でサービスはむしろ低下していると指摘する人も少なくないという。夏の楽しみ方を提案するなど対策を講じないとリゾート全体の価値が下がりかねないと危機感を強めている。

参照:北海道新聞

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